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大庭牛乳(福岡県飯塚市内野)

――「大庭牛乳」さんは「村の牛乳屋さん」の愛称で142年続く老舗。全国的にも歴史の古い牛乳屋さんですね。

大庭裕治(以下、大庭) 明治5(1872)年に創業し、私で6代目です。
昔は牛舎をもって搾乳もしていましたが、今は契約した酪農家から原乳を買い、製乳をして販売・配達しています。

――どんな牛乳ですか。

大庭 酪農家の方にじかに会って仕入れて皆様のもとへ直接届けているため、変な仕事はできません。酪農家から分けていただいた100リットルの原乳から100リットルの安全な牛乳をつくることを信条としています。低温殺菌で牛乳本来の成分とうまみを残し、昔ながらのビン詰め牛乳を続けています。

――牛乳は本来、季節によって味が異なるそうですね。

大庭 夏と冬では、成分や脂肪分がほんの少し異なります。それは母牛が子牛を守るため、気候に応じて母乳を変化させているためです。当社では品質が一定になるような殺菌・均質加工はしますが、季節による成分の均一化や調整は行なっていません。

――跡を継ぐことに抵抗はありませんでしたか。

大庭 家の事情により19歳で跡を継ぎましたが、一時期は嫌でした。しかしある大雪の朝、宅配に行った家のおばあさんから涙ぐんだ目で「今日は来てくれないと思った。届けてくれてありがとう」とお礼を言われたんです。そのとき「こんなに喜んでもらえる仕事なんだ。お客様のために働こう」と思い、どんなに辛くても頑張ろうという覚悟ができました。

――製乳のとき、機械から離れることがないそうですね。

大庭 製乳から機械の洗浄・殺菌までの5時間、機械のスイッチを一度入れたら作業が終わるまで離れられません。実際に父の死に目に立ち会えませんでした。しかし、父も私もこの仕事に誇りを持っています。

この車で配達していると小学生や小さい子供が手を振ってくれるのが嬉しいです。「牛乳配達のおじちゃん」として地域の目となり、パトロールも兼ねて配達をしています。

――今後の目標は?

大庭 大手メーカーの商品も出回っていますが、内野地域の方々からは「やっぱり大庭牛乳がいいね」と言っていただきます。地域の方々が待っていてくださるので頑張れます。さらに最近は、兵庫や東京からわざわざ訪れてくださる方や「料金が高くなってもいいから送って」という徳島の方がいらっしゃって嬉しいことです。これからも自信を持って皆さんに飲んでいただける牛乳をつくっていきたいと思っています。

大庭牛乳

所在地 / 福岡県飯塚市内野451-7
TEL / 0948-72-0222

写真:筑穂牛肥育農家
筑穂牛肥育農家 (現在準備中)